北米海外駐在員の給与大公開 海外赴任で年収1,500万の手取りは幾ら?


こんにちは。選択のススメ海外駐在員です。
本日は、私の給与を公開致します。

海外駐在員の給与大公開 2018年見込は、年収14万ドル!

サラリーマンにしてはかなり良い数字に見えませんか?

円換算だと年収1,500万円以上です。メーカーでもこれくらいの年収なんです。

総合商社や金融系になると、冗談抜きで年収40万ドルとかになります。4,400万ですよ。中小企業の社長と同じくらいのレベルです。サラリーマンとしては非常に良い年収です。

本当にそんなもらえるの?眉唾ものじゃないの?という方もいらっしゃると思いますが、『海外駐在 年収』などのワードで検索すると似たような情報がワラワラ出てきます。

また、もし海外駐在している方が周りにいたら聞いてみるのも良いかもしれません。

海外駐在員の手取り給料は幾らなの?

手取りと言えば、通常は税込み年収の大体7割から8割くらい、つまり年収1,500万円の場合はざっくり1,125万円でしょうか??

ボーナス4か月分すると手取月収70万円でしょうか??いいね!やった!海外駐在員って最高!大手に行かなくてもこんなにもらえるなんて!今すぐ弱小企業の海外駐在員を目指そう!!と考えるのは、実は早計なんです。

実際に手に入る額は全く異なります。日本であなたが得ている月収に、数万円が足されるイメージです。

これは私の勤める企業がメーカーであることも大きな理由です。収入的には全然おいしくない場合もあるんです。大企業や金融系・総合商社系であれば話は別です。

海外赴任で実際の手取り給料は幾らなの?

私の場合は、手取り月収約3,400ドルです。37万円くらいです。これに加えてボーナス4ヶ月分。あれ??さっきの計算と全然違いますね。。。年収1,500万円とはかけ離れた結果です。。。

つまり、実際は年間手取り54,000ドルです。

先ほどの計算(手取りは税込み年収の75%と計算)から逆算すると、税込み年収だと大体72,000ドルのはず。日本円換算だと税込年収792万円くらいの方の手取りと近くなります。

見せ掛けの年収1,400万円に対し、実際年収は792万円だということです。毎月の数万円が無ければ、年収670万円相当ということです。

駐在員は相当リッチな生活を送れるんじゃないの??

残念ながら、現実はそう甘くはありません。私のいるアメリカの物価は平均的に日本よりも高く、引き続き物価は上昇しています。

節約家の我が家でも、ざっくり平均で1.5倍という体感です。物によっては信じられないくらい高いものもありますし、ガソリンのように日本の半額の物もあります。一概には比べられません。生活スタイルによってかなり異なります。

例えば日本と同じスタイルで生活しようとすると、平均で2倍から3倍の費用負担があります。冷凍納豆は3ドル以上します。

日本だと70円くらいのものが。1ドル110円換算で、64セントくらいの納豆が、3ドル以上するんですよ。納豆の価格は4.7倍です。3ドルだとすると、1パック1ドルですから、1パック110円ですよ。

つまり、日本からアメリカに来て、手取りが4.7倍以上無ければ、納豆を食卓に並べる回数を減らさなければなりません。

オカメ納豆がどこにでもあるわけではないし、小粒が好きだけど小粒が無い、なんてこともざらです。しかも、冷凍品ですので味が落ちます。納豆は、ぜいたく品であり、アメリカンな食生活を送らざるを得ません。

日本の物は、輸入品なのです。輸入に掛かる費用や、輸入に関わる企業の利益、そして現地の小売店の利益などが沢山乗っています。本当に高いんです。

ぜいたくは敵、くら寿司は神様 アメリカの外食は高過ぎる?!

外食なんていうと、もっと高いです。

味や品質はというと、日本と比べてやはり低いという評価をせざるを得ません。それなのに、日本よりもよっぽど高いです。

特に、日本料理となるとその傾向は顕著で、生臭くて美味しくなくて、変てこなSushiが、え!!??こんなにするの!!??という値段で提供されています。

日本のチェーン店の回転寿司が神様のような存在に思えます。あれが1皿7ドルくらいで回っていても、こちらの現地で十分戦えます。実際、こちらでは2貫でそれくらいします。おいしくないのに。10皿食べたら、70ドル。

さらにそこにチップが加わります。お昼なら15%が基本ライン。夜なら20%

外食は、押しなべて高いです。ガソリンが半額といえど、1皿7ドルの変てこSushi、しかもあなたでも作れそうなレベル以下の外食に行きたいと思いますか?

我が家はNOです。というか、行けません。

日本の物価が非常に安く感じられます。特に外食は信じられないほどの安さと、量と品質です。安すぎると思います。昔、東南アジアに旅行に行ったときに感じるあの激安感を、今の日本で感じてしまっています。

海外ではおいしい日本食にはアクセスがないのか?

と聞かれれば、ニューヨークシティには何でもあります。ただし、値段もまたNYC価格です。

変てこレベルではなく、美味しい和食もありますが、1人200ドルは行きます。皆の味方、牛角もありますがNYCでは全然お手ごろ価格ではありません。1人100ドルは行きます。お酒を飲む方は、もっともっと高くなります。

ラーメン一杯で20ドル以上するのがNYCです。これが、日本人が海外先進国で生きるということです。

家族帯同で行かれる方は、ご注意下さい。妻のキャリアは中断されますし、それだけでなく、それまでの生活すべてから分断されます。友人も、老齢の父親も母親も、子供手当ても、治安の良い生活も、何もかもが無くなります。ふるさと納税もなくなり、iDecoやNISAも出来なくなります。節税が出来ません。

さらに、私の勤める弱小メーカーは為替リスクも駐在員側が負っています。

今は、毎年手取り額が下がっていっています。会社規模がある程度の規模になると、購買力保証といって、マーサーが発表する係数をかけてくれる(例えばアメリカのある都市であれば1.2倍など)のですが、弱小メーカーにはそんな考え方はなく、数万円足せば十分だろ。というスタンスでしかありません。

むしろ手当出してやってるんだ、くらいのスタンスです。ちなみにその手当は手取りではないため、税金引かれます。つらいです。他の会社の駐在員が羨ましいです。

海外で生活するということ

もう一度言いますが、海外で生活するということは、子供手当てももらえなくなります。

自治体が提供するありとあらゆる手当ては受けられなくなります。為替リスクもあります。個人的な資金移動で発生する手数料は、もちろん個人持ちです。

関連記事:これから海外駐在予定の方必見!住民票の裏技は赴任年にしか使えない!

海外先進国で働く場合、駐在員として赴任して、やっと日本に近い生活レベルを維持できるということです。

それでも文句は出ます。メリットもあり、デメリットもあります。Aクラス企業や、そのお偉いさんであれば素晴らしい待遇なのですが、残念ながら私は平均的な海外駐在員です。

ですので、現地採用として先進国で生きるのは相当大変です。いわゆる貧乏生活しか出来ません。例えあなたが日本語も英語も堪能で、専門スキルがあって、仕事が出来たとしても、です。日系企業に現地採用として勤める限り、報われる日は一生やって来ません。

先進国で働く日本人は、いわゆる出稼ぎ

海外駐在員として、会社からのサポートがあっても、先進国でお金を貯めるのは難しいです。いわゆる、出稼ぎの状態です。収入額も大きくなるけれども、出費はもっと大きくなります。相当節約しなければなりません。外食は一切しないものとして生きる必要があります。

家に引きこもって安い冷凍ピザだけ食べる生活を続ければ、日本にいるときよりもお金は貯まるでしょう。

リッチな生活をしつつ、お金を貯めるには、こちらの記事で触れたように物価が低い国に駐在をする必要があります。先進国でも発展途上国でも、現地採用として働くことは、失うものが多すぎるため、割りに合いません。

福利厚生も比較してみましょう。

現地採用の場合に得られる福利厚生は海外駐在員の福利厚生とは全くの別物であるため、現地採用の方が海外駐在員と同じ生活を送るには、税込み年収通りの額を稼ぐ必要があります。

海外で駐在員から現地採用に鞍替えする場合

もし、今私が会社を辞めて現地の会社に転職するとしましょう。

その場合、現在の生活レベル(家、車、子供の学校)を維持するには年収72,000ドルではなく年収14万ドル稼がなくてはなりません。福利厚生というのは非常に大きいです。

本拠地に居るのと出来る限り同等の生活を用意するように努力する、というのが会社側の趣旨であるため、高校まで教育費が無償である日本と同様に、高校まで公立校に通う場合の費用は会社負担です。

海外駐在員は、様々な福利厚生が現物給付として見做されるため、手取りに加えて福利厚生が税込み年収として積み重ねられていきます。見せ掛け要素の強い税込み年収になります。帯同する家族の数が増えるほど、見せ掛けの年収は大きくなります。

例えば海外駐在員は社用車を通勤に使用します。その社用車を通勤に使用する分は現物給付として見做され、給与としてカウントされます。家賃も同様です。こちらも現物給付として見做されるため、給与としてカウントされます。他にも様々な福利厚生が給与としてカウントされますが、手取りには反映されません。

手取り+福利厚生+税金=税込み年収 という形になります。これがネット保証、グロスアップというやり方です。

ただし、あくまでも見せ掛けではあるものの、実生活レベルは現地で年収14万ドル稼ぐ方と似たような生活が出来るということです。実際に年収14万ドル稼ぐ方とは、手元に残る金額が全く異なりますので、金銭感覚も異なるはずです。

現地採用は、都合よい存在 コストが会社からの価値

その時、現地採用の方はどうなっているでしょうか?手取り額から税金を支払い、家賃を支払い、車も自分で用意しなければなりません。いかに海外駐在員が恵まれた立場か分かると思います。

アメリカで現地採用だった頃の私は、当時の税込み年収が約45,000ドル。スタート時は35,000ドルで、東京よりも高い家賃の中で、それは厳しい生活でした。あとから来た、英語すら話せない海外駐在員をうらめしく思ったものです。

駐在員という生き物は、会社負担で、駐在員御用達のウェストチェスターにフロントとバックヤード付きの一軒家住まい、子供の学費も会社負担、何から何まで至れり尽くせりの状態でした。

他の駐在員はマンハッタンのペントハウスに、もちろん会社負担で住んでいたり。アッパーイーストやアッパーウェストに住めるのも、駐在員ならではです。

その一方で、周りの会社に勤める私の友人の中には、年収が20,000ドル台の人もいました。勿論、現地で大学を出た現地採用の日本人です。

同じ日本人という括りで考えること自体がおかしいのですが、その括りは見た目にも分かりやすいため、よく比較されます。あまりにもその格差が大きいのです。

マンハッタンの外で地上に住むための月額1,000ドルでさえ、ひーひー言っていた自分が悲しいです。このような経験があり、現地採用ではなく海外駐在へのススメを説こうと思い立っています。

現地採用が抜本的に生活の質を向上させるには、海外駐在を目指すしかありえません。

会社が支払うコストは、会社にとっての、その人の価値です

社会にとっての、その人間としての価値ではありません。現地採用というのは、会社にとって都合のよい存在でしかないのです。現地採用の皆さん、目を覚ましましょう。行動力も、能力もあるはずです。日本に帰って、海外駐在員を目指すのもありではないでしょうか。

もちろん、中には日本とは縁を切ってどっぷり海外生活をしたい、という方もいらっしゃあると思います。ですが、ビザサポートが必要な限り、日本と縁を切るのは難しいです。

それならば、QOLを上げ、出来る限り収入を増やして、経済的に自立できる日を1日も早く迎える努力をするのも良いかと思います。自分を必要とする企業に、高く売りこみましょう。

この本は読んでおいて損は無いです。