サラリーマンなら、海外駐在のすゝめ➆


前回に続き、インド話です。

インドで働いて分かったインドの日常、基本情報

インドと日本との時差は3.5時間。
インドの夏は3月から5月。
インドの真夏を過ぎても、気温は摂氏50度付近でした。

インドのことについて、事前情報を何も調べずにインド入りしたことを反省していました。

私はニューデリーに本社がある、インドの会計事務所で働いていました。

停電は日常茶飯事で、仕事中に突然真っ暗になっても皆、無反応。

一日に何度も起こることなので一々反応しません。

またかよ、同僚と顔を見合わせることすらしません

数分後に自前の発電機が作動し、一部の電気がつき始めます。PCは落ちませんでした。

真っ暗なオフィスの中で、薄暗いディスプレイに向かって皆無言でカタカタと仕事をしていました。

家には発電機が無かったため、停電時には暗闇の中でじっとしている他にありませんでした。

このような状況では、冷蔵・冷凍技術は未発達であるため、肉からは自然と離れざるを得なくなります。

インド人、特に上位カーストにベジタリアンが多いのは、そのあたりが根源なのではないかと思っています。少し考えれば、肉は食べない方が無難であることは理解できるからです。

市場に行けば、肉屋で鶏がさばかれるのを見ることが出来ます。鳥かごの中の鶏はいかにも不衛生そうだし、切り株のような俎も、最後に洗ったのはきっといつだか分からないような代物です。洗う水にしても、そもそもが不衛生な水。

卵はパパママショップの店頭に並んでいますが、いつからそこに並んでいるのかも分からないです。スーパーで売っている食品にはカビが生えていました。米には虫が大量にわいていました。おまけかな?

大体売っている商品は、輸送状態の悪さをその見た目から物語っていることが多く、不細工な見た目になっている。中身が出てしまうこともよくあります。ですが、皆さん大事なことを思い出してください。

全てはノープロブレムです

インドで働く日本人の現状

インド企業では、日本企業を担当する営業としての役割でした。

インドに進出している、或いは進出を考えている日本企業がターゲット。そのような企業の担当者に、自社のサービスを使ってもらえるように売り込む、というのが仕事でした。

お客さんは皆、インド駐在の日本人であり、様々なインド駐在話を聞かせてくれました。

かなりハードな場所で、タイへの買い出し休暇がまるで天国のようだと、異口同音にタイ駐在員を羨む気持ちを隠しませんでした。

こんなところに送り込まれて、大変だ。。。

みんなそういう顔をしていたし、駐在員同士が労い合っていました。

確かに、会社によっては意向一つで楽園タイ王国への駐在か僻地インドへの駐在か決まるのだから、首根っこ掴まれて生きている状態です。家族の帯同もタイならできるがインドは不可だったり。

インドはストライキが過激だし、マルチスズキですら手を焼いています。

インドの労働争議は人が殺されるレベルなので本当に危ないです。駐在員は任期を全うすることだけに必死です。

会社の新規事業をその双肩に背負わされたまま、理想と現実の板挟みでもがき続ける必要があります。

現地採用は、自分のことだけ考えれば良いので気楽なものです。ですが、それは待遇という形で自分に返ってきます。

インドで働く外国人は本社採用の人間も現地採用の人間もいますが、やはりダントツで多いのは駐在員です。

インドで働く多くの外国人が海外駐在員で、皆それぞれに素晴らしい待遇で働いてます。会計事務所という仕事上、駐在員のビザ申請も行っていたため、送り込まれる人数の多さやその収入額に驚きました。

一方で、自分はこれだけ身を粉にして働いて、手取りは月10万円程度。

俺、いったい何やってるんだ?
あれ???これ前にも感じなかったっけ??
また同じ失敗をしている。。。?

海外で海外駐在以外で働いた結果

インド、それも地方では未開の地がほとんどで、字を読めないどころか、トイレがまだまだ普及していません。

海岸沿いでは、早朝の波打ち際は満員公衆トイレ状態です

色んな路地も公衆トイレ状態だし、全裸のお婆ちゃんなんかもうろついています。

公共工事なんかは、見て呆れてしまうほどで、ドジョウすくいに使うざるのようなもので、お婆ちゃんがほんの少しの土を牛歩のように運んでいたりするシーンに出くわすこともあります。

きっと何百年経っても開通しないような道路があるはずです。

住んでいた近辺では、早朝から宗教的な音楽がガンガンと流れはじめ、土日もお構いなしです。

起きて外に出ると、寺院で食事をふるまっているようで、私も恩恵によく預かっていました。食事はもちろんインドカレー。好きです。

私はカレーを食しながら思いました。

インドが発展していくのは、まだまだ先であると。

弾けるタイミングがあれば、そこを境にきっと一気に発展していくのでしょうが、その時はまだまだ来ないだろうと感じました。

少なくとも、向こう5年とかいう次元ではないことは確かでした。

それはつまり、向こう5年は、この牛歩の歩みの異次元の中で、将来に賭けながら生きていかなければならないということであり、当時20代後半の男性としては、結婚できるかどうかも含めてその先の人生全てを賭けるということでした

電気も上下水道も安定しない、まともな食事すらできない未開の地で、週7日間24時間体制で働いても月給10万円、未来は保証しませんという状態でやっていくべきか冷静に考えたとき、答えはやはりNOでした。

私は未来を見過ぎたのです。

企業レベルで、長期的に見る夢であり、個人レベルで見る夢ではありませんでした。

インドで出会った日本人は、皆が大企業の駐在員で、こちらが現地採用などとは夢にも思わないようでした。

あそこでそのまま5年やるよりも、日本に帰ってインド向け駐在員を探している企業に駐在前提で転職した方がよっぽど稼げるし、ためになるのは明らかでした。

ですが、もうインド生活をどっぷり送った時点で、これ以上インドで時間を過ごしたいとは二度と思えなくなってしまっていました。愚者は経験に学びます。

IT大国インド、IT後進国日本

IT大国インド、というが、その実は日本がIT後進国ということでした。

インドの入国審査も、外国人登録も全てが手作業で台帳への記入であったり、そのあたりは日本よりも遅れていました。

パソコン1つで人生を変えられるのであれば、子供への投資としては安いものであるし、効率的です。

FAXが主流であったり、神エクセルに代表されるような、とりあえずエクセルで作成してエクセルの機能を殺すようなファイルの作成が未だに蔓延している日本も、どうにかしなければなりません。

効率の良さよりも、既存のやり方を優先される社会では、なかなか難しい。

既存の世界から飛び出してみると、いかに小さい世界、基準の中に自分を閉じ込めていたかを思い知ります

何か新しいことにチャレンジするときは、いつも感じることです。

サラリーマンなら、海外駐在員を目指すべき

私、選択のすゝめの人生は迷走していましたが、このインド経験のおかげで、遅ればせながら気づくことがありました。

サラリーマンは、仕事内容や将来性で就職先を選ぶより、海外駐在員になれるかどうかを調べ、そこを目指すべきだと。

賃金抑制とデフレが続く日本の会社でサラリーマンをやるのであれば、様々な手当てがつく海外駐在員以外は、逆に搾取され過ぎていると考えても良いです。こちらの方が正解かもしれません。

一番最悪なのは、日系企業の海外現地法人で働く現地採用される日本人のポジションです。

海外の日系企業社会では、下記のような待遇ヒエラルキーが出来上がっています。

  1. 海外駐在員
  2. 日本本社サラリーマン
  3. 海外現地採用ローカル
  4. 海外現地採用日本人

業種・職種を問わず、採用形態によって異なる給与テーブルが用意されていて、一番おいしいのが海外駐在員なのです。

気づくのが遅すぎました。

結果や能力、派閥の違いではありません。

採用形態の違いだけで、年収にして10倍、20倍以上の差が簡単につきます

サラリーマンとして収益を最大化するという考え方が、恥ずかしながらそれまで足りていませんでした

現地採用から海外駐在への道を模索

失敗を受け入れ、軌道修正するのはなかなか苦しかったです。

せっかく飛び込んだ世界への微かな希望や、受け入れ難い現実。だが、まずはアジアでの現地採用という現実を止める、ということが先決でした。明らかに割に合っていない。選択肢としては大失敗でした。

転職しようにも、インドにいる状態ではどうにもなりませんでした。まずは帰国することが第一。

辞職したい旨を告げると、超ブラック企業の黒さは以前にも増して黒くなりました。漆黒企業でした。結局は逃げるようにして辞めることになりました。檻の中に閉じ込めようとするブラック企業は、すぐにでも辞めたほうが良いです。

義父のアドバイスに従い、家族(妻)の健康を理由を辞職理由として伝えましたが、返って来た答えは「死んだわけじゃないから理由にはならない」という謎の回答でした。

その瞬間、一刻も早くこの会社から脱出しなければならないと感じました。

日本での就職は、海外駐在前提でのポジションを探していましたが、そううまくは行きませんでした

海外からの仕入れや、海外市場の開拓など、英語と営業という自分の強みを活かすことの出来る仕事。そして将来的な駐在につなげられる仕事。

自分の軸は海外営業しかないと判断しました。

日本で生活を落ちつけながら、今度こそちゃんとした海外駐在を実現するためじっくりと時間をかけて計画を練ることにしました。

それくらい価値のあるポジションなのです。海外駐在員というものは。

肩書ややりがいなんかどうだっていいんです。サラリーマンが目指すべきおいしいポジション。しかも競争率が比較的低い。

取り返しのつかない失敗を重ねてきましたが、いつかの海外駐在で起死回生を狙います。今度こそです。今度こそ、長期視点で。もう失敗できません。

そろそろ背水の陣でした。とにかく人並みの生活に憧れていました。ボロボロでした。



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