海外で働く私が紹介する、海外で働くための5つの方法と注意点

日本から脱出したい!海外を経験してみたい!理由はなんでも良いです。海外に出るのに駄目な理由なんて一つもありません。『海外で働く』を実現するための5つ方法を、その具体例と忘れてはいけない注意点と共に紹介します。

海外に出たい!と思われている方は多いものの、皆さんどうしたら良いのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。海外に出る人は、まだまだ少数派なので情報が少ないのが事実です。

海外生活、全く想像がつかない・少しは想像がつくけれど、詳細までは分からない、或いは海外生活好き!だけど現実のものに出来ていない。。。本日はそんな皆さんにピッタリの『海外で働く5つの方法』を、実際に海外で働いている私が、真面目に紹介します。

また、理解しておくべき海外生活のメリット・デメリットや、場所(国・都市)の選ぶ際の注意点、企業を選ぶ際の注意点も別エントリで紹介します。

海外で働きたいとき最初に考えるべき、2つの入り口

海外で働く方法は、大きく分けてまず2通りあります。

自力で行くか、誰かに行かせてもらうかの2種類です。

この2つは、些細な違いのようで、実際は対極です。現地についた頃には、埋めることの出来ない大きな格差があります。そのため入り口の選び方は、とても大切です。自力で行く場合、あらゆる負担が非常に大きく、一方、会社都合での赴任は会社のサポートを受けられるためにあらゆる負担が小さいです。

両方経験の有る私の意見としては、会社都合にする選択が賢い選択だと思います。転勤族になる可能性もありますが、もし赴任先に永住したくなれば、会社都合で赴任してから現地で永住ビザをサポートしてくれる企業への転職、或いは現地法人への転籍を考えれば良いことです。

海外の現地採用と駐在員の間に存在する、この天地ほどの差は決して能力の差に基づいているものではなく、入り口が異なる(自己都合か、会社都合か)だけですので、単に日本を脱出したい、海外で働きたいという気持ちだけで後先を考えずに突っ走ると、最悪の場合は海外で低所得者層に陥るという危険が伴います。

入り口を間違えたからと言って、時間は巻き戻せないため後戻りは出来ません。一からやり直しとなりますので、しっかりと吟味しましょう。もし間違いに気づいて、そしてその間違いを改めたい場合は、出来る限り早く降りることを忘れないで下さい。なぜなら、先ほど一からやり直しと書きましたが、正確には1というよりは、マイナスからやり直しになり、立て直すのにより多くの労力をかけることになるからです。目的地と行き先が異なるバスは、降りるのが早ければ早いほど、傷が浅く済みます。

国境を跨ぐ引越は、生活を整えるのに通常の引越よりも時間や労力、もちろんお金も必要です。家族を伴う場合は、家族のペースに出来る限り合わせて上げて下さい。一人と家族持ちでは、選べる選択肢も選ぶべき選択肢も異なるはずです。

これから、海外で働く5つの方法とその具体例、そして注意点を1つずつ説明していきます。まずは3つ。

自力で海外で働くための、3つの方法

  1. 日本から海外現地に直接就職する
  2. 海外に留学して、そのまま現地で就職する
  3. 海外にワーホリか語学学校、そのまま海外現地で就職する

1.自力で日本から海外現地に直接就職する

まず、日本からいきなり海外現地に就職することは可能です。面接は電話やスカイプ等で行われます。日本に支社がある場合などは、その支社にて最終面接が行われたりすることもあります。

このルートで行ける場合というのは、

➀現地で人を雇うことが相当困難で常時募集中、それか
➁現地のニーズとピッタリ合致或いはそれ以上のスペック・経験を持っている

のいずれかになります。いずれの場合にせよ、その国での就労ビザサポートをし得る高等教育を修了していたり、就労経験があったりすることが必要です。

私は、この方法でアメリカからインドに転職しました。面接はスカイプのみで複数回行いました。インド自体行ったことが無かったです。インドは就労場所としてかなり不人気ですので、➀の人材不足が恒常化しています。応募すれば殆ど誰でも行けると思います。在インド日系企業の現地採用の一般的な待遇は、手取り月額10万円です。家・車はつかず、交渉しないとつけてくれません。私はインド企業と交渉して、比較的良い家、そして小汚い車を用意してもらいました。月給は手取りで約10万円でした。後進国に現地就職するということは、こういうことです。日本へ一時帰国する費用や、その際に日本で使うお金を貯めることは難しくなります。

インドやアフリカなどに比べて、アメリカなど人気がある国への直接応募というのは難易度が上がります。なぜなら➀の人材不足は特に無く、➁の現地のニーズとピッタリ合致系人材かどうか判断することが難しく、どこの馬の骨とも分からない人間を採用するよりも、近くにいる人材にオファーを出すのが普通だからです。技術職であれば能力を確かめる手段はあるでしょうが、文系だと難しいです。また、仮にオファーをもらえてもビザサポートが必要ということでやっぱり無理、というケースもあります。

また、まれに、先進国に直接行けるレベルの人は高待遇で迎えられたりします。ある分野で希少な技術を持っていたりする方などがこちらにあたります。分かりやすい例で言えば、エンゼルスの大谷選手などの日本人メジャーリーガーがそうでしょう。もっと身近な現実的路線で言えば、どの業種でも技術職であれば引っ張られる可能性が高くなります。ビザサポートなどのハードルを越えられるほどのスペックがあるような、引っ張られるほどの人材でなければ、先進国への直接就職は難しいです。

特にアメリカはビザに厳しいことで有名ですが、トランプ大統領になってからは厳しさが一段と上がっているのでビザ動向には注意を払う必要があります。

2.自力で海外に留学して、そのまま現地で就職する

海外の多くで、大学以上の高等教育を修了した場合にはその国での就労が認められます。どの国も、誰でも出来るような仕事は自国民のために守りたがりますが、自分の国だけでは補えない知識や技術を持った人材に対しては就労ビザを発給するメリットがあります。
対して個人から見てみれば、自分で行きたい国や場所、専攻内容や業務、期間を選択できるのがメリットです。海外一人旅が大好きな、自分の人生を自分で切り拓いていく方にはおススメの方法です。

アメリカのトランプ大統領は、特に不法就労者や期限付き滞在者(ハイチなど災害を受けてアメリカに一時避難と就労が認められている人たち)によって、様々な仕事がアメリカ国民から奪われているとの認識の基に、アメリカ国民第一優先を掲げながら外国人へのビザ発給数を絞ったりしています。但し、上述したように、自分の国だけでは補えない知識や技術を持った人材に対しては、数を減らしながらも就労ビザの発給を引き続き許しています。

これは私が日本からアメリカに行く際に取った方法です。日本で大学を卒業した後、アメリカの大学に留学しました。扱いは編入扱いとなり、日本の大学で取得した単位の一部が留学先でも認められたため、2年半で海外の大学を卒業しました。

その後現地の日系企業に就職。なぜ日系企業かといえば、文系だと専門性が無いため、ビザサポートをしてまで文系日本人を雇うメリットがなく、結果的に日本やその他日系企業と商売を行う現地日系企業しか文系バイリンガルの雇い口が無い場合が多く就職の可能性が高いからです。また、ビザサポートが必要ということは、現地日系企業からしてみれば現地人を雇う以上にコストが発生するため、そのコストは残念ながら待遇に反映されてしまいます。その国に居られる条件が、ビザありきであるために、雇用が不安定な人間をわざわざ雇うメリットは、現地企業にとって、正直なところ少ないです。

但し、日本人のところに営業をしにいく場合は日本人営業が好まれます。そのため、文系日本人は日系企業の営業ポジションに収まることが多いです。というか基本的にはそこしかありません。注意点としては、保険についてです。現地では、就職の際に必ず保険内容を確認しなければなりません。そもそも保険の有無から、補償範囲、補償内容、免責金額など。海外での医療費は高額ですので、お金が無いと病気にもなれません。何事も自分でやらなければなりませんので、健康の大切さをしみじみと感じます。

また、日本に一時帰国の際には健康保険がありませんので、10割負担となってしまいます。これが嫌な場合は、誰かに保険証を借りてその人として治療を受けるという裏技がありますがこれは犯罪です。誰も見つけられないだろうけれど。。。アメリカで15万円する歯科治療が日本で1000円くらいというのはアメリカあるあるです。往復して治療してご飯食べても日本の方が安いです。健康保険を使えれば。

3.自力で海外にワーホリか語学学校、そのまま海外現地で就職する

こちらはまず、ほぼ無給期間が続くということを念頭において下さい。また、正式に働いて報酬を得ることは認められていません。海外のワーホリか語学学校に申込み、現地入りしたあとに、自分でコネクションを見つけ、ただ働きさせてもらい、ビザサポートをしてくれる企業・人を自分で探し出し、運よく自分のバックグラウンド(学歴・専攻内容)がビザサポートに足り得る条件を満たしていれば、就労ビザの申請が出来ます。また、申請が出来るだけで、必ず通るわけではありません。幾多の関門が待ち受けています。

生活費を捻出するため、闇のバイトに精を出し始める人が多いです。海外の日本食レストランで働く人や、日本人キャバクラで働く人の多くが語学学校生です。就労してはいけない条件のビザであるため、日本人社会の中でそうした現金の仕事をするしかありません。また、その幾多の関門の合間合間に、二進も三進もいかなくなったまま、次の関門を越えられずに毎日を過ごしている日本人が海外に結構います。

正直、あまりおススメしたくない方法ですが、不可能ではありません。これは人生綱渡り状態のようなものです。不可能ではないけれども、おすすめはできません。私の友人にも、このルートで現在は合法に働いている人がいますが、大変苦労されていました。幾多の関門を自力で越えてきたことは尊敬に値します。

ちなみに、私がニューヨークに居た当時はかなりの数の違法就労者がいました。現地で日本ドラマのDVDのレンタルやお弁当訪問販売などで日銭を稼いでいたりしますが、違法滞在・就労が見つかった場合の代償は非常に大きいです。最悪は、経由を含めて二度とアメリカに入国することが許されません。アメリカは、罪に対して罰がある国です。

会社都合で海外で働くための、2つの方法

  1. 日本で就職して、海外駐在する
  2. 日本で就職して、海外現地法人に転籍する

1.(会社都合) 日本で就職して、海外駐在する

いわゆる駐在です。
海外で働くための方法の5通りの中で、一番おすすめで人気のある方法です。会社都合での赴任となるため、赴任に際する費用は基本的に全て会社負担です。負担してくれる範囲や内容は、所属企業と肩書きによって全てが決まります。従業員に優しい企業で、且つ上位ポジションであれば素晴らしい待遇を勝ち取ることが出来ます。対して、これが弱小企業で現地進出したばかり、となるとかなり期待出来ません。待遇も良くない上に、現地時間と日本時間の両方をカバーすることを求められ負担が大きいです。

一般的には、現地での住居費や車両費も会社持ちになります。企業としては、日本の生活と同等レベルを保証する必要があるため、高校までは子供の学費が一部補助されます。日本では高校までは無償なので、その状況と同じ、或いは近い状況を用意します、ということです。定期的な里帰り費用も会社負担です。慶弔での里帰りも会社負担の場合が多いでしょう。あくまでも、日本の生活と同等に近づけてくれる、ということです。

家も、治安の比較的良いエリア(海外では治安レベルと家賃が比例します)に住む必要があり、そちらも会社負担です。危険の次元が異なります。また、日本に籍を残すということは、日本に一時帰国の際にも堂々と日本の健康保険を使って3割負担で病院に行くことが出来ます。

繰り返しますが、処々待遇に関しては、所属する業種・企業によるところが本当に大きいです。上場していれば、従業員の安全確保は、企業にとってより重要になります。おススメは4大商社か金融系です。万全の体制で送り出してくれます。至れり尽くせりの生活を送ることが約束されています。メーカーは、商社や金融と比較して業務も忙しく泥臭い上に待遇もあまり良くありません。

このルートはそもそも業種と企業を固定するルートですので、行けるエリアは所属企業によってかなり異なってきます。例えばバイオならアメリカ、アメリカの中でもサンディエゴなど。ITならアメリカ、アメリカの中でもパロアルトなど。製造業なら工場があり、それは地代の安い田舎です。インフラ系ならインフラが整っていない後進国で、しかも僻地です。住む場所によって法律、必要な生活コストや税金も変わってきますので、提示された金額だけでの善し悪しは判断出来ません。一口に海外駐在と言ってもピンきりですので、その内また別エントリで書きます。

里帰りに関しても、1年あたりの回数が違いますし、飛行機のクラスもまた異なります。尚、インドなどの非先進国とされるエリアでは会社負担の一時帰国回数が年4回+タイへの買出し休暇が複数回あったりする企業もあります。

アメリカでは、年1回、2年に1回などが一般的ですが、先日出会った在米イタリア企業のイタリア人取締役の家族(子供3人)は年3回ファーストクラスで一時帰国とのことで、何とも羨ましい限りです。外資系企業による、自国外への海外駐在はかなりゴージャスです。なぜなら日本企業が保証するという、日本と同等の生活の質が海外先進国の生活の質と比較すると、そもそも低いので、外資系が良く見えるからです。

日本はデフレが続いていますし、日本の会社は総じて給料が抑えられています。土地も家も狭いです。その一方で海外は賃金・物価が上がり続けていますし、土地も広く家が大きかったりするため、その生活を自国外で保証するとなると、例えば日本へ駐在になる場合などは、治安や教育面、会社への距離などから必然的に広尾エリアになる場合が多いです。

赴任先が自国よりも後進国の場合は、ハードシップ手当が出る場合もあります。現地採用から見れば、全然イージーモードなのですが、駐在員が比較するべきは、自国と海外現地の生活の違いなので、ハードシップ手当は支給されるべきと私は考えます。ちなみに、日本から後進国に駐在すると、給料が下がる場合もあるそうで、日系企業の人材の扱いには本当に興醒めします。現地の物価が低いから、が理由だそうですが、会社都合で海外で働くのですから、自国と同じ生活水準は保証するべきだと思います。

赴任の際は、前任者が居れば前任者に詳細を確認、自分が初めての場合は会社としっかり交渉することが必要です。それくらいの交渉が出来ないのならば、いくら海外駐在といえども海外では生き抜いて行けません。

2.(会社都合) 日本で就職して、海外現地法人に転籍する

こちらも会社都合での赴任となるため、赴任に際する費用は基本的に全て会社負担です。但し、そこから先は現地採用となります。そのため移動してから半年から1年ほどは会社からのサポート(家賃負担など)があったりしますが、その先は自力で生き抜いていく必要があります。

日本で外資に勤めていて、日本本社が撤退してアジア本社になったりすると、こういうことになります。具体的に言うと、ラルフ・ローレンが日本から香港へアジア本社が移った際にこういうことがありました。P&Gの神戸本社がシンガポールへの移動の際にも同じようなことがあったはずです。大企業であれば転籍でも大丈夫でしょうが、中小企業の場合は給与だけでなく福利厚生も非常に悪いため、転籍はしないほうが無難かもしれません。

海外で働く5つの方法と注意点まとめ

以上、海外で働く5つの方法とその具体例、及び注意点を紹介しました。自分にとって優先事項は何なのか(待遇なのか、海外に出ること自体なのかなど)を決めた上で、上記で述べた入り口(自力で日本脱出するのか、会社都合で海外駐在するのか)を選び、自分にとって理想的な『海外で働く』を実現するのに少しでも役立てれば嬉しいです。

選択のすゝめは、4番目の方法である『海外駐在』を劇推しします。


海外生活を始めるにあたって、理解する必要のあるメリット・デメリットについては別エントリでまとめたいと思います。

海外生活のメリット・デメリット20個ずつまとめました。海外生活のメリット・デメリットまとめ
私が海外駐在員になった経緯を書き連ねています。少しでも読者の方の海外移住にお役に立てると嬉しいです。
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