現地採用だったら詰んでた瞬間【医療保険】 安易な海外脱出には気をつけよう!裏技も紹介!


こんにちは。

失敗を重ねながらも、それを将来に活かしていくことを忘れない、選択のススメです。

本日は、私自身が現地採用ではなくて本当に良かったと痛感した瞬間を紹介します。全ての現地採用を否定するわけではありませんが、安易な海外脱出をすること、またデメリットを説明せずに海外脱出を推奨することには警笛を鳴らし続けます。

また、現地に残りたい海外駐在員が、現地採用へ鞍替えする際にも十分に気を付けて頂きたいです。海外駐在員は、基本的に会社におんぶに抱っこであるケースが多いため、鞍替え後に『あれ、こんなはずじゃなかった』と思うことが少なくありません。

海外で生きるということ=ルールの異なる自治体で生きるということ

日本で生まれ育った日本人が、海外で生きるということ。これは、外国で、外国語環境の中で生きるということです。ここまでは、ぱっと思いつく方が多い表面的なレベルです。

ですが、それは本当に表面的なものでしかありません。使用言語の違いでしかありません。関東と関西のような違いと同じです。東北と沖縄とか。この言語の違いに加えて、文化的な要素が加わります。

海外で生きるということは、上記のことだけではありません。私が伝えたいことは別です。

海外で生きるということは、全く異なる社会で生きるということです。憲法、法律、交通ルール、物価、税金の仕組み、税率、年金システムなど、個人では変えることのできない社会の枠組みにはまる、ということです。

身近な例を挙げれば、車の交通ルールで左側通行の国で右側通行をすれば違法です。どちらが良いとかそのような話ではなく、郷に入っては郷に従う必要があります。文化的な話ではなく、明文化されたルールの話です。

日本でも自治体によって条例が定められていたり、ごみの分別ルールが異なっていたりします。それと同じです。海外で生きるということは、ルールの全く異なる自治体で生きる、ということです。

アメリカの医療費は高い 医療保険は絶対に必要!

日本とはルールが大きく異なる代表格が健康保険と医療費。とりあえずこちらの請求書を見てください。アメリカでは、受診後にこんな請求書が突然届きます。

タップで拡大

一撃7,500ドルの請求書です。85万円です。支払い期限は、通知を受け取った日の数日後。数日後ですよ。これが幼児の頭部MRI(造影剤無し)の費用です。画像系はおしなべて高いです。昔CTスキャン撮ったときも数千ドルしてパニックになりました。

現地の保険が効いて、この費用です。現地の保険は、この7,500ドル以外の2,500ドルを負担してくれました。つまり、本来は合計10,000ドル(113万円)だったということです。これが、日本の場合は大人でも数千円から数万円、子供の場合は医療費負担してもらえるため殆ど無料です。

医療費というものは言い値ですので、日本でもアメリカでも交渉が可能です。支払い方も柔軟に対応してくれます。ですが、数日以内に85万円支払え、という通知を送ってこられるのは恐ろしいものです。

また、MRIだけでなく手術を受ける予定なのですが、出てきた見積もりの一部だけでも合計すると30,000ドル(339万円)を超えています。海外では、こういうことが起こりうるので事前の準備が大事です。

現地採用だったら詰んでた瞬間 後悔先に立たず

結論から言えば、幸いにも、私は海外駐在員としてアメリカに赴任しており、不幸中の幸いで金銭的負担は殆どありません。

これが、現地採用だったらどうなっていたか。上記の金額をまるまる自腹で負担する必要があります。しかも数日以内に。もしも支払いが滞らせてしまうと、クレジットヒストリーに傷がつきますし、そのうち債権回収部門に債権譲渡されてしまいます。延滞料金が積みあがり、恐ろしい目に合うことになります。

身体のケアを行わなければならないこの大変な時期に、交渉を含めた金策に奔走しなければなりません。これこそが、現地採用は避けるべき、と私が言い続けている理由です。現地採用になるには、心してならなければなりません。

現地採用の場合は、会社からの保護は一切ありません。それを補うためには、シンプルに年収を上げるしかありません。物価は上がり続けますし、家賃も上がり続けます。日本を含むアジアとは物価体系が異なります。そのような状況下で、上記のように一撃7,500ドルの請求書が届いた時点で生活が破綻しかねません。

つまり、日本にいるときよりも1.5~2倍の年収が無ければ、同じレベルの生活・QOLは維持は難しいです。

医療費を理由に、海外生活そのものを断念する人は沢山います。持ちこたえられないのです。家族が増えれば増えるほど、事故や病気のリスクは上がります。家族が増えれば増えるほど、守るべきものが増えるというのに、仕事や子供の学校など生活全てに対して、突然のピリオドがやってくるのです。自分だけではなく、家族の人生まで乱すことになります。

私は、現地採用の経験も海外駐在員の経験も両方あります。現地採用の場合、日系企業だとただでさえ待遇が良くないのに、医療費爆弾を被弾すると家計が破綻します。お金が無いと、精神的にも疲弊します。

だから私は、安易な海外脱出には警笛を鳴らし続けます。
もしもあなたが今日本の会社で働いていて、海外で働く機会を模索しているのなら海外駐在を目指すべきです。現地採用を目指してはいけません。待遇が素晴らしく良い数字でない限り。

現地採用ではなく海外駐在員の場合の医療保険

では、海外駐在ならば具体的に医療費はどうなるのか。被弾することには変わりはないのではないか、という疑問があるでしょう。下記に箇条書きでまとめてみます。
  • 海外駐在員保険に加入していれば(してないブラック企業もあるので注意)、数百万円の急な支払いも本人負担ゼロ。今回のケースで言えば、疾病1千万円まで補償。
  • 駐在員の場合は、住民票が無くとも、日本の会社に籍があり、健康保険料を支払っているため健康保険に加入している状態が継続。そのため一時帰国して日本の健康保険で日本の治療を受けることも可能。つまり、現地でも日本でも、自分たちの状況に合わせて自己負担を抑えながら治療を受けることが可能
  • また、駐在員保険によっては、その際の一時帰国費用さえも保険でカバー
  • さらに、年1回などの会社負担の一時帰国が用意されているため、その枠を使用して一時帰国も可能

これが現地採用と海外駐在の違いです。雇用形態によってここまで差が出ます。海外駐在は、恐ろしく恵まれた存在なのです。それくらい、派遣元の親会社にとってみれば要の人材・ポジションであるということです。

現地採用の場合は、もちろんローカルの人々と同じで駐在員保険などはありません。つまり、現地採用こそが普通のあるべき姿なわけですが、選べるのであれば駐在を選ぶべきです。現役駐在員の方は、現地採用に鞍替えするには健康保険だけでなく、FICA税の支払いなど考慮しなくてはならないことが沢山あるのです。

現地採用が日本の病院で医療費を抑える方法・裏ワザ

それならいっそのこと、現地採用の人は日本に帰って日本で治療を受けてからまた戻ってくればいいのに!と思う方もいらっしゃると思います。真っ当な考え方だと思います。

海外現地採用の場合は、日本では健康保険が無保険状態を意味します。制度上、住民票が無ければ健康保険に加入出来ません。つまり、一時帰国して日本で医療を受ける場合は全額自己負担です。それでもアメリカよりも安いかもしれません。

より現実的に物事を考えれば、アメリカと日本間の旅費も考慮しなければなりません。日本に家が無い場合は、宿泊費も考慮しなければなりません。家族で帰国する場合は家族分の旅費も必要です。治療が一回で済むものなのかどうかも、実際に治療を受けるまで断言はできないでしょう。八方塞がりです。

ただ、日本で安価に治療を受ける裏ワザがあるんです。

日本で安価に治療を受ける裏ワザとしては、
  • 海外転出時に住民票を抜かない+国民健康保険を使う
    • メリット:日本価格、3割負担で治療
    • デメリット:脱法状態、住民税支払い義務、国民年金も支払い義務
  • 一時帰国時に住民票登録して、その後再度住民票を抜く
    • メリット:日本価格、3割負担で治療
    • デメリット:グレーゾーン。正直に理由を話すと、自治体が住民票登録してくれない 違法行為であり抜け穴だったが2018年秋から制度化されアウト
  • 住民票登録せずに、家族・友人の替え玉として受診する(保険証を借りる)
    • メリット:日本価格、3割負担で治療
    • デメリット:違法、治療内容によっては被・替え玉者の医療保険に影響。違法行為
正直どちらも推奨は出来ません。方法論としては、可能なのですが。ですが、とんでもなく高い治療費が見込まれる場合は、日本でどうにかした方が旅費含めても安いケースが多いです。ケースバイケースですが、考えてみる価値はあります。違法行為を推奨するわけではありません。

海外に住みたいなら、ルールは事前によく調べる

言葉よりも何よりも、ルールをまず第一に調べることが大事です。スポーツで例えるならば、小手先のテクニックよりもまずは大枠のルールを知らないとゲームが成り立たないのと同じです。

今回は例としてアメリカの医療費を挙げましたが、日本で暮らす日本人には想像もつかないようなルールが海外には多数存在します。海外から見れば、日本だって独特のルールです。むしろ独特なルール満載です。

色んな失敗は人生の糧になりますが、しなくてよい失敗もありますし、何より生活が掛かっている場合はリカバリーに時間とお金が掛かります。海外への脱出自体は大賛成ですし、応援しますが旅行気分で行くと火傷しますので要注意。

人生に勢いはとても大切ですが、計画はそれ以上に大切です。

ご利用は、計画的に。。。

こちらも読まれています