エッセイ:モスクワのカレンの話



海外タマゴ(@sentakunosusume)です。

カレンという、私からすると少し年配のかっこいい女性のラジオアンカーがいる。最近のよくある傲慢な白人女性を揶揄する『カレン』ではなくて、きちんとした名前のカレンさんだ。なお、本人が傲慢であるかどうかは僕は知らない。英語はアメリカ白人の発音だ。

彼女にはブルームバーグラジオを聴いていると出逢うことができる。自分にとっては毎朝の通勤時間中の定番チューンだ。朝6時半過ぎから聴き始めて、NYCの交通情報、そして興味のないスポーツ情報あたりが終わる頃、待ちに待った株式の話が始まる。

寄り前の注目株などが紹介された後、その内、『ピシャッッ!!!』と気を引き締められる思いになる瞬間がある。

それがカレンの出てくるタイミングだ。

差しこまれた効果音が終わるかどうかというタイミングで彼女はいつも颯爽と『こちらモスクワのカレンです。今朝の先物指数は上がっています。』という感じで始まる。

彼女が中心となり、他の人に振ったり、戻したりするのだ。お決まりの流れががあり、最後は大体いつもマイケル・バーという人にパスされる。そして彼は言う。『ブルームバーグは世界120か国、2,700人のジャーナリスト・アナリストによって作られています』。

カレンもその内の一人だ。世界120か国の内にはもちろんロシアも含まれている。

そんなブルームバーグラジオは世界中どこででも聴くことができる。便利な時代だ。自分もNYCにはいない。なので交通情報など無意味なのだが、リンカーントンネルやFDRの混み具合を毎朝のように聴かされている。

大体いつも事故か何かがあり、大変な状況なようだ。ニューヨーク・ニュージャージーの皆さんは毎朝大変だ。お疲れ様です。

ブルームバーグラジオは、アメリカの中でも地域的に細分化されているようでニューヨーク向けのチャンネル、サンフランシスコ向けのチャンネルなど色々あるようだ。

自分はせっかくなのでニューヨーク用のチャンネル、ブルームバーグ1130を聴いている。

市場は世界中にあり、世界の情報を通勤中の車内で気軽に聴くことができる。素晴らしい時代だ。

カレンやそのアシスタントの方が本日の市場まとめを説明するとき、話はアメリカから始まり、世界の市場の動きを簡単に説明し、そしてまた最後にアメリカの市場に話が戻る。

人員の配置も、扱う事柄も、とてもグローバルだ。なんてったって120か国、2,700人だ。

インデックス、株式、為替、コモディティ、ビットコイン、色んな項目があり、その時々によって取り上げられる項目は変わる。ビットコインがまとめに取り上げられるようになったときは時代を感じた。

ドル円は体感的には8割近くの機会で取り上げられる。毎朝必ずではない。日本市場はいつも『Fell 1% over night(米国の夜の間に1%に下落しました)』みたいな感じだ。少なくとも、取り上げられる存在感はあることに安心する。

さて、カレンに話を戻そう。

彼女はまるで、議会で話しているような感じの、とても優秀そうに聞こえる話し方をする。アメリカ人の英語だ。第2言語の英語ではない。ロシア人ではないはず。一年中ずっとモスクワにいるように思う。休みの時にはアメリカに戻っているんだろう。

ただ最近、僕はカレンが心配になっていた。ロシアからの退避勧告もあったはずなのに、アメリカには戻らないのだろうか。

全然知らない人だけど、毎朝声を聴いているけれど、現地の状況などは説明せずひたすら自分の役割を全うするカレンさん。さすがプロだな、と思った。

それにしてもブルームバーグとはすごい会社だな、とも思った。

ニューヨークからの駐在でモスクワ、しかもこの時期にまだいさせるとは、一海外駐在員として少し気になっていた。比べては失礼だが、同じく会社都合で海外で働くサラリーマンとして気になっていた。

ハードシップ手当とか、手当はきっと必要十分以上にしっかりしている。ルーブルが紙くずになってるらしいけど、どうなってるんだろうな、なんて考えたりしていた。

それにしてもいつまでモスクワにいるんだろうって。脱出できないのかな、大丈夫かな、なんて少し焦りだしてしまった自分がいた。

そうだ、少し調べてみよう。

グーグル先生、最高だ。すごい時代だ本当に。

ファーストネーム、場所、会社名が分かっているメディアの人間なら何かしらの情報が得られるはず。そう思った自分は正しかった。

「karen in moscow bloomberg」

で検索する。

するとそこには


「Karen Moskow is a news and business anchor for Bloomberg Radio, appearing daily on “Bloomberg: The First Word,” and “Bloomberg Surveillance.” She also provides business reports to the many Bloomberg radio affiliates across the country.

カレン・モスコウさんはブルームバーグラジオのニュース・ビジネスセクションのアンカー。」

カレン・モスコウ!!!!

カレンさん、名前だったのか!!!

モスクワにいなかった(笑)

And I'm Karen in Moscowで始まっていると思ってい込んでいた彼女の入り方、
And I'm Karen Moskowだった。

NYCに住んでるらしい(笑)

ずーーーっと、モスクワから中継してると思いこんでたよ。思い込みって怖い。どうりで全くモスクワとかロシアの話しないはずだよね。

とんだ取り越し苦労でした。

P.S. 苗字って面白いよね。
Moskowは自分の勘違いだったけど、Kissさん(接吻さん)とかJusticeさん(正義さん)とかStruggleさん(苦労さん)とか。色んな苗字が存在していて面白い。黒人なのにホワイトさんとか。痩せてる太一君みたいなもんかな。

コメント