エッセイ:俺の油田



選択のすゝめです。

いきなりだけど、やばい。
お金が欲しい。
全然やばくないけど、脳内に浮かんでくるのはそんなさみしい語彙ばかり。

お金が欲しいと思いながらも行動が伴わない。
お金は勝手に降ってこない。そんな当たり前のことが分かっている、分かっているはずなのに万が一にも起こらない奇跡を期待してしまう。降らないの?降っていいのに全然。降金確率10%とかならずっと外にいるよ。青山テルマもそばにいるよ多分。多分ね。

空からお金が降って来なくても、奇跡は起こるかもしれない。

例えば。

ある日突然、白装束に身を包み、たっぷりのひげを蓄えた目がとてもつぶらな男性と、黒装束に身を包んで目しか見えない女性のペアがやって来る。二人とも割と高齢だ。自分の両親と同じくらいだろうか。

その白黒の夫婦と思われる二人組が自分に近づいて来て、こう言う。

「私たちはあなたの本当のお父さんとお母さんだよ。」

「アラブから来たんだ。石油をたっぷり持ってる。油田さ。」

「君に油田をプレゼントしたいと思っている。遅くなって済まない。」

クリスマス前ならクリスマスプレゼントとして、お正月ならお正月のプレゼントとして。

イベントが無い時期なら単なるサプライズギフトで構わない。

油田をくれる。本当の両親が。

そんな奇跡が起きることを期待してしまうのは、本日現在でアラフォー、妻子ありの中年男性だ。

顔は醤油顔で、体毛は薄い。日本人の中でも薄めだ。

アラブの血が一滴も入っていないことは一瞬で分かる。小学生でもわかる。アラブの要素が全くない。ゼロ。完全にゼロ。ラム肉が好きなことくらいかな共通点は。

ちなみに先日受けたDNAテストでも、それを裏付けることが証明された。
アラブの血は一滴も入っていないのだった。

つまり、油田は手に入らない。
油田を持つ本当のお父さんとお母さんは存在しない。誰も迎えに来てくれない。誰も俺に油田をプレゼントはしてくれない。そんな可能性が非常に高い。

俺の、油田。

俺の油田。なんて響きの良い言葉だろうか。

俺のステーキとか俺のフレンチとかをもひざまずかせるにも十分。

俺の油田。

一度でいいから行ってみたい。俺の油田へ。
一度でいいから言ってみたい。俺の油田と。

地から湧き上がる石油。
それは自分にはぜーんぜん関係の無いもの。
1ミリも関係ない。

強いていうなれば、米国株のXOMちゃんを保有しているので少しは関係あるかもしれない。一部は俺の油田、という見方もできるかもしれない。

だけど、一部じゃないの。
全部欲しい。

眺めの良いすごい高いタワーに登って、誰かに説明したい。

「見えるリグ全部、俺の。俺の油田。」

アラブでなくとも構わない。誰でもいい。俺の油田は一体どこにあるんだ。

こうなったら油田買うしかない。
調べてみたら数億円から数十億円で買えそう。

無理だ。
それ無理だわ。

こうなったら油田諦める。
今の段階では諦める。
いつか、将来お金持ちになったら。。。なんて頃には油田よりも違う何かの方が有望なのかな。もう俺の油田なんて言ってる場合じゃないのかもしれない。

そしたらさ、もうあれだよ。
俺のテスラ。

とにかく株に全力投資するためのお金が欲しい。
今日も明日も明後日も投資したいのに、所有不動産の修理で7000ドル飛んで行った。

俺の、、、、7,000ドル。
随分とスケールが小さく、身近になった。
俺の、人生。

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